春のハヤカワ電子書籍祭

2020/03/14

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春のハヤカワ電子書籍祭

Amazonで、春のハヤカワ電子書籍祭が始まった

要はいつものkindleセールだ。

とはいえ、ハヤカワさんは他社さんと比べて頻繁にセールするわけでもないし、ジャンル絞りが効いたセールを打つことが多く、SFとミステリとかに限ったものばかり。ところが今年の春のセールは何故かそういうジャンル縛りも然程効いておらず、混沌とした感じで、バリエーション的には実に良い。

今の私の気分を元にした、セール値引き率高めの作品の中から、私的お勧めを以下に紹介してみようかと思う。セール自体は4/13までらしい。

三体

三体
三体
posted with amazlet at 20.03.14
劉 慈欣
早川書房
売り上げランキング: 1,266

私なぞが紹介するまでもなく、多分、去年一番売れた海外小説だと思う。

エンタメに徹した、いわゆる本格SFで、世界観は大きいのだけれど設定は盛ってない辺りが「最近」の味付けなのだと思う。昔ながらのSF読みには刺さるところが大きい本なので、おっさん層にはさぞかし売れたんだろうなあ、としみじみ。私もハードカバーで買いました。良いSFです。

しかも出たばかりの本なのに50%OFFです。切ないね。

裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル

裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)
宮澤 伊織
早川書房
売り上げランキング: 61,371

4巻まで出てるシリーズだが1巻がセール入り。都市伝説系の怪異に接する機会を得た女子大生の話だが、その実は、怪異ものの皮をかぶった百合ものであり、ほんのり尊い。文体もラノベ寄りだし、楽しみ方も気軽に読むのが、このシリーズの正解なのだろうなー、という気がする。くねくね。

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー

なんでも有りな中国SFアンソロジー。不自由な感じのする最近の国内SFに対して、ここ数年で翻訳されるようになった中国SFは、かなり自由。それこそ子供の頃に読んだSFのようなディストピア感あふれるものが多い気がする。

アイデアの芳醇さがあふれているようなアンソロジーなので、個々については触れないが、今の中国SFが他の作品もこういったものなら、もっともっと読んでみたい。

兎に角、中国SFは日本国内に入ってくるものがまだ少ないので、もっと売れて、もっと翻訳されると良い。

ナイトフライヤー

ナイトフライヤー (ハヤカワ文庫SF)
ジョージ・R・R・マーティン
早川書房
売り上げランキング: 172,504

これもヒューゴー賞。SFっぽい見た目だけど、正体はコズミックホラー。私は、SFを読むのにストーリー原理主義は不要の長物と思う方だけど、こういう、無理はあるけど、映像的には良さげなストーリーの転がし方をしていて、なるほどNetflix化な感じ。

ゾンビ使いの短編が気持ち良かった。

ヒト夜の永い夢

ヒト夜の永い夢 (ハヤカワ文庫JA)
柴田 勝家
早川書房
売り上げランキング: 80,130

SFばかり紹介するのもアレなので伝奇ものも。

柴田 勝家独特のケレン味も、この作品ではセリフ回しにだけ効いていて読みやすく、いつもの説教じみたところも無い。内容も、粘菌で動く人形が出てくる素直な昭和初期伝奇モノで、シンプルだ。

話も王道なので、頭空っぽで読める良い本。

手を伸ばせ、そしてコマンドを入力しろ

手を伸ばせ、そしてコマンドを入力しろ (早川書房)
早川書房 (2018-04-30)
売り上げランキング: 2,306

ゲーマーの作者による自叙伝的小説。泥臭い描写かと思えばテンションが弾けてたりと、安定しない書きっぷりだが、それも含めて面白い。おそらくは筆の乗っていた序盤と、そうではない後半の落差もあるが、これは総じてきっと、青春小説なのだろう。

この本、どうしてこうなったん? と読了後思ったが、熱量含めて、こういう本があってもいい。私は楽しんだ。

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